「創作生活にて」の感想
創作生活にて
そうさくせいかつにて
初出:「新潮 第三十一巻第十一号」新潮社、1934(昭和9)年11月1日

牧野信一

分量:約30
書き出し:窓下の溝川に蛙を釣に来る子供たちが、「今日は目マルは居ねえのか。」「居ないらしいぞ。」などと、ささやき合つてゐるのを聴いた。さういふ俗称の蛙がゐると見える、いつたい何んな蛙の謂なのか——と私は、読みかけてゐた本を顔の上に伏せて、蚊帳のなかで耳をそばだてた。二三日前に押入の隅から取出した幼児の褓※蚊帳だつた。この貸家の先住者が忘れて行つたものらしい。洋傘の式で紐を引くと、四ツ手網のやうにパツと拡がる...
更新日: 2021/06/16
19双之川喜41さんの感想

 とんでもない悪童逹から 飼い犬に 勝手に芸を 仕込まれ 怒り狂った牧野は 天狗のように羽ばたきながら 神楽殿から 池のふちに 飛び降りる。 創作に 没頭するつもりが 悪餓鬼との 攻防戦に 明け暮れるさまには 吹き出してしまう。