「雁」の感想
がん
初出:壱、弐、参「スバル 第三年九号」1911(明治44)年9月、肆、伍「スバル 第三年十号」1911(明治44)年10月、陸、漆「スバル 第三年十一号」1911(明治44)年11月、捌、玖「スバル 第三年十二号」1911(明治44)年12月、拾、拾壱「スバル 第四年二号」1912(明治45)年2月、拾弐「スバル 第四年三号」1912(明治45)年3月、拾参、拾肆「スバル 第四年四号」1912(明治45)年4月、拾伍、拾陸「スバル 第四年六号」1912(明治45)年6月、拾漆、拾捌「スバル 第四年七号」1912(明治45)年7月、拾玖「スバル 第四年九号」1912(大正1)年9月、弐拾「スバル 第五年三号」1913(大正2)年3月、弐拾壱「スバル 第五年五号」1913(大正2)年5月、弐拾弐、弐拾参、弐拾肆「雁」籾山書店1915(大正4)年5月

森鴎外

分量:約204
書き出し:壱《いち》古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕は東京大学の鉄門の真向いにあった、上条《かみじょう》と云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕も焼け出された一人《いちにん》であった。その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えて...
更新日: 2024/05/26
阿波のケンさんさんの感想

お互い意中の人である 岡田とお玉、ヒョンなことから意外な幕切れとなる。このお玉という女性は源氏物語で一番人気の登場人物である夕顔をイメージしているという。彼女の心の成長も読み所だ。

更新日: 2020/12/06
1d6872e5c389さんの感想

秘かに想い合った美男・美女にも関わらず、ほんのわずかなボタンの掛け違いで生き別れになるとは人生の切なさよ。

更新日: 2020/11/16
19双之川喜41さんの感想

 鴎外が 紙背で意図した 構想を 過不足なく理解したとも 我ながら 思えないけど 鳥籠の小鳥が 蛇に呑まれ 見物人のおおいなか 出刃包丁を片手に 小鳥を助け出す場面は 迫力があると感じた。

更新日: 2018/09/26
befb9a327d45さんの感想

昔、と言っても随分昔に日曜日のNHKラジオ番組に日曜名作座という番組があり、森繁久弥と加藤治子の二人が出演し、森鴎外の雁が放送されていた。何週間かに分けての放送であり、全部聞いたわけではない。でも、核心の所を聴けた。つまり、学生の岡田がお玉の住む家の蛇退治する場面であった。ラジオについて引きつけられるようにして聴いた。その後、いつか小説原本を読みたいと思ってたら、青空文庫に有るのを見つけ、スマホで読んだ。勿論、ラジオは脚色が為されており、若干違うが、森鴎外の文体も味があった。