森鴎外
お互い意中の人である 岡田とお玉、ヒョンなことから意外な幕切れとなる。このお玉という女性は源氏物語で一番人気の登場人物である夕顔をイメージしているという。彼女の心の成長も読み所だ。
秘かに想い合った美男・美女にも関わらず、ほんのわずかなボタンの掛け違いで生き別れになるとは人生の切なさよ。
鴎外が 紙背で意図した 構想を 過不足なく理解したとも 我ながら 思えないけど 鳥籠の小鳥が 蛇に呑まれ 見物人のおおいなか 出刃包丁を片手に 小鳥を助け出す場面は 迫力があると感じた。
昔、と言っても随分昔に日曜日のNHKラジオ番組に日曜名作座という番組があり、森繁久弥と加藤治子の二人が出演し、森鴎外の雁が放送されていた。何週間かに分けての放送であり、全部聞いたわけではない。でも、核心の所を聴けた。つまり、学生の岡田がお玉の住む家の蛇退治する場面であった。ラジオについて引きつけられるようにして聴いた。その後、いつか小説原本を読みたいと思ってたら、青空文庫に有るのを見つけ、スマホで読んだ。勿論、ラジオは脚色が為されており、若干違うが、森鴎外の文体も味があった。