「南極の怪事」の感想
南極の怪事
なんきょくのかいじ
初出:「中学世界」1905(明治38)年1月号

押川春浪

分量:約43
書き出し:一この怪異なる物語をなすにつき、読者諸君にあらかじめ記憶してもらわねばならぬ二つの事がある。その一は近頃ヨーロッパのある学者仲間で、地球の果に何か秘密でも見出さんとするごとく、幾度の失敗にも懲りず、しきりに南極探検船を出しておる事。その二は、いわゆる歴史の黒幕に蔽われたる太古、ぼうとして知るべからざる時代に、今は蛮地と云わるるアフリカ州の西岸、東に限りなき大沙漠を見渡すチュス付近に、古代の文明を集...
更新日: 2022/04/18
19双之川喜41さんの感想

 瓶の中に  手紙を入れてて海中に投じ  後日 それを拾った ところから 物語が始まるという設定は 無いわけではない。 海賊に襲われて  他の者は 皆殺しにあい  一人だけ 船で氷に乗り上げて  昔の 宝船に行き当たると言う 筋である。 数十枚の毛布を被って 寒さをしのぐ などは 如何にも 不自然であるけど まあいいかと感じた。

更新日: 2020/05/12
醤油樽薔薇之丞さんの感想

 冒険の舞台は、海底、宇宙そして南極、そうそうジャングルと、これが書かれた明治期であっても、現代でも変わっていない。今回は陸地でありながら現代でも、行くのが困難な南極が舞台となる。  パスポートを持たない私にとっては、日本国内であっても何処か行く事が冒険になる。初めての店でさえ、ボッタクリに会わないだろうか等と用心するのだから。冒険者はその辺りからも、私と異なるので羨ましい。この冒険記の記録者もまた、ツワモノである。  見るからに怪しい漁船に便乗するあたりから、様々な危機を予測させる話が展開されるが、全てを無視して結論に至る押川春浪氏ならではの作法なのであろう。  とりあえず、読み終えた感はある。