「桃のある風景」の感想
桃のある風景
もものあるふうけい
初出:「文藝」1937(昭和12)年4月号

岡本かの子

分量:約8
書き出し:食欲でもないし、情欲でもない。肉体的とも精神的とも分野をつき止めにくいあこがれが、低気圧の渦《うず》のように、自分の喉頭《のど》のうしろの辺《あたり》に鬱《うっ》して来て、しっきりなしに自分に渇《かわ》きを覚《おぼ》えさせた。私は娘で、東京|端《はず》れの親の家の茶室《ちゃしつ》作りの中二階に住んでいた頃である。私は赤い帯を、こま結びにしたまま寝たり起きたりして、この不満が何処《どこ》から来たもの...
更新日: 2021/08/06
19双之川喜41さんの感想

 若い血潮が 逆流し あふれる情熱を もて余す。 「身の中のもちものを、せめて文章ででも始末しないうちは、死にきれないと思った。」よよと楽しく泣き濡れたという。 かの子 激情とでも言うべきか。