家庭愛増進術
かていあいぞうしんじゅつ
――型でなしに
――かたでなしに初出:「婦人画報」1929(昭和4)年3月号分量:約7分
書き出し:わたくしは自分|達《たち》を夫とか妻とか考えません。同棲《どうせい》する親愛なそして相憐《あいあわ》れむべき人間同志と思って居《い》ます。そして元来《がんらい》が飽《あ》き安い人間の本能を征服|出来《でき》て同棲を続ける者同志の因縁《いんねん》の深さを痛感します。わたくしは因縁こそ実に尊《とうと》くそれを飽迄《あくまで》も大切にすべきものだと信じて居《お》ります。其処《そこ》に優しい深切《しんせつ...