播磨とお菊の二枚看板が命を賭けて演じる人生の悲劇。怪談噺でお茶を濁すのではなく、武家社会の持つ不条理に翻弄された男と女のドラマとして捉えたところに読み応えを感じる。
読み終わって、これからまだ仕事があるのに涙が止まらなかった。菊はなぜ…と思うあたしの心は、男に近いのかも。 しかし、文章が美しい…この人の文を、他ももっと読んでみたい。
伝え聞いている話とは違っていたが、心打たれた。おどろおどろしい話ではなく、悲しい話。結果がどうであれ、信じることをやめないで、短気を起こさなければ、終わりはかなり違ったものになっていたなぁ。と思わずにはいられない。