「若芽」の感想
若芽
わかめ
初出:「潮 第二巻第一号」1914(大正3)年12月

島田清次郎

分量:約14
書き出し:(一)ぬつくりとした空気の中に、白い布を被せた寝棺が人々の眼に痛ましく写つた。紫檀の机の上に置かれた青銅の線香立には白い灰が堆高く積つて、夢の様に白い煙が立ち上つて抹香くさい香が庭前の青葉の間に流れ流れした。『雨戸を繰りませうか。』今迄だまつて柱に依りかゝつて居た男が一座を見渡してかう言つた。其して一尺許りすいて居た一枚の雨戸を静かに開けた。電燈の光が広々とさあつと外にあふれて出て、露にうるんだ山...
更新日: 2025/05/20
65c8aadc88adさんの感想

雙之川喜1941   同語反復など 気になる 箇所は いくつか あるけど 天才の 為せる 技と 感じ入った。詩味あふれ 構成も しっかりしており おそらく 修行を 積んで 得たもの ではない ところが まぶしい ようにも 感じた。

更新日: 2021/07/29
decc031a3fabさんの感想

文章のリズムが本当に良い。終わりが急に切れた感じなのが、ちょっと勿体無いが、色鮮やかな光景の描写が素晴らしい。ただ肩に力が入り過ぎているきらいがあるかな。

更新日: 2020/11/16
19双之川喜41さんの感想

 10代で これだけの作品を世に出すことが出来たのは やはり 天才と言うほかに 言葉が見つからない。 内容は 若くして活発な創作活動を続ける文学者の卵が  急死すると言う 筋である。 島田も早死にしているのが  何とも 痛ましいと感じた。

更新日: 2020/04/18
21f6eef5eed4さんの感想

島田清次郎の処女作として、読めて嬉しいです。情景が目に浮かぶようでした。病床の息子が、看病をしてくれた父親に「これを出版してくれ」と500枚余りの原稿を手渡す場面が、もういくばくもない命の結晶のようで、悲しくて。15歳の頃の少年が書いた小説とはとても思えませんでした。島田清次郎自身が大変な苦労をして、母親と依存関係にあったので、息子の母親が死んだ描写を読んだ時、どんな気持ちで書いたのだろう…と考えてしまいました。読めてよかったです。

更新日: 2019/12/19
bf17a811cc5dさんの感想

とても好みの文体と題材でした。

更新日: 2019/03/18
1b3197e43101さんの感想

若い芽が短命で命を終える葬儀までの様子が自身も若そうな著者の才能ほとばしるタッチで描かれる。主人公が命を削り書きあげた作品がその後どうなったかなどが省かれ、尻切れトンボの感はあるが未完の大器を感じる。