「横綱」の感想
横綱
よこづな
初出:「東京新聞 第四百六十六号」1944(昭和19)年1月13日

太宰治

分量:約1
書き出し:二、三年前の、都新聞の正月版に、私は横綱|男女《みな》ノ川《がわ》に就《つ》いて書いたが、ことしは横綱双葉山に就いて少し書きましょう。私は、角力《すもう》に就いては何も知らぬのであるが、それでも、横綱というものには無関心でない。或る正直な人から聞いた話であるが、双葉山という男は、必要の無いことに対しては返辞をしないそうである。お元気ですか。お寒いですね。おいそがしいでしょう。すべて必要の無い言葉で...
更新日: 2024/05/05
19双之川喜41さんの感想

 ある おでん屋の  一隅に 「忍」という 揮毫(きごう)が 架けてあった。あまり 上手ではなかった。署名には 双葉山と あった。可憐な 一字によって あの横綱双葉の 十年間の 生活が 忍ばれるような 気がしたという。