「歴史と事実」の感想
歴史と事実
れきしとじじつ
初出:「東京新聞」1944(昭和19)年2月8日

坂口安吾

分量:約2
書き出し:以前新井白石の「西洋紀聞」によってシドチ潜入に就て小説を書いたとき、屋久島はどんな島かしらと考えた。切支丹の事蹟を辿って天草までは行ったが、屋久島は行かなかった。幸いこの小説は島の風物を叙述する必要がなかったので史料の記事だけで間に合ったが、後日、深田久弥氏の屋久島旅行記を読んで驚いた。屋久島は千七百米の巨大な山塊で、全島すべて千年から千五百年を経た神代杉の密林だそうである。成程白石の記事によって...
更新日: 2019/02/19
5173c54655b2さんの感想

面白い。 安吾が屋久島を訪れないまま、小説を書いたことにふれていたり、歴史で知られている部分と事実が違うことに驚いたり、小説は歴史や事実と違ってていいんだと開き直っているところが興味深かった。破天荒な人生とは違って、繊細な生真面目な人だったのだろうと思う。 そしてこの文章をリアルタイムに読んでいるのでなく、ある意味歴史の一つだと思って読んでいる私に気づいたことが面白かった。