「良夜」の感想
良夜
りょうや

饗庭篁村

分量:約22
書き出し:予は越後三条の生れなり。父は農と商を兼ねたり。伯父は春庵とて医師なり。余は父よりは伯父に愛せられて、幼きより手習《てならい》学問のこと、皆な伯父の世話なりし。自ら言うは異な事なれど、予は物覚えよく、一を聞て二三は知るほどなりしゆえ、伯父はなお身を入れてこの子こそ穂垂という家の苗字を世に知らせ、またその生国《しょうごく》としてこの地の名をも挙るものなれとて、いよいよ珍重して教えられ、人に逢えばその事...
更新日: 2022/02/19
ace0443be3bcさんの感想

本文が文語体なので、読み始めは、取っ付きにくかったものの、読み進むうちに、話の面白さに引っ張られて、いつの間にか文語体の小説であることを忘れてしまった。 秀才でならした田舎の少年が、郷里の学校では飽きたらず、もっと上の学校を目指して上京するが、大切な学資金を紛失してしまい、親元にも話せず、植字工となって懸命に働き学資を稼ぐ。 新たな後援者が表れるまで、結構な苦労続きのはずなのだが、これといった暗さや鬱屈感がない。 意外と爽やかな読後感の原因は、多分この善良さにある。 少年を取り巻く周囲の人々もすべて善良でストレスというものとは無縁のストーリー展開、もし唯一あるとすれば、少年の主人公が、周りから優秀だと褒めそやされて、すぐに天狗になってしまうあたりくらい、まあ、それにしたって、随分キュートな思い上がりにすぎないが。 あっ、そうそう、惹かれた理由はもうひとつ、饗庭篁村という名前に惹かれた。字体が素敵だ。

更新日: 2016/11/27
乱読子さんの感想

想定外によかった。 かわいくって素敵なお話しでしたよ