三人の盲の話
さんにんのめくらのはなし
初出:「中央公論 第二十七年第四號」1912(明治45)年4月分量:約47分
書き出し:一「もし/\、其處《そこ》へ行《い》らつしやりますお方《かた》。」……と呼《よ》ぶ。呼《よ》ばれた坂上《さかがみ》は、此《こ》の聲《こゑ》を聞《き》くと、外套《ぐわいたう》の襟《えり》から先《ま》づ悚然《ぞつ》とした。……誰《たれ》に似《に》て可厭《いや》な、何時《いつ》覺《おぼ》えのある可忌《いまは》しい調子《てうし》と云《い》ふのではない。が、辿《たど》りかゝつた其《そ》のたら/\上《あが》り...