「山の貴婦人」の感想
山の貴婦人
やまのきふじん
初出:「帝国大学新聞 第四八九号」1933(昭和8)年7月10日

坂口安吾

分量:約5
書き出し:上州、信濃、越後、丁度三国の国境のあたりに客の希《まれ》な温泉がある。私の泊つた宿には、県知事閣下御腰懸けのイスといふのが大切に保存されてゐて、村の共同湯に出没する人々にはドブチンスキーやボブチンスキーの面影があつた。近い停車場へも十数里の距離《みちのり》があつて、東京の客なぞ登山の季節にも滅多に来ない。単調で奇も変もない山国の風趣が気にいつて、私は暫く泊ることにした。ある日、宿の亭主がもみ手をし...
更新日: 2021/05/06
496b7f29770aさんの感想

宿の亭主は大変お気の毒だが、村の野次馬は面白い。暇で他人事だと皆、あれこれ言ったり聞きたくなるのだろう。人が居れば問題は起きる。美貌の湯治客は何をしでかすのか、とても気になった。亭主は苦労が耐えないな……。