「剣術の極意を語る」の感想
剣術の極意を語る
けんじゅつのごくいをかたる
初出:「現代文学 第五巻第一一号」大観堂、1942(昭和17)年10月28日

坂口安吾

分量:約9
書き出し:僕は剣術を全然知らない。生れて以来、竹刀《しない》を手に持つたことがたつた一度しかないのである。中学の時、剣術と柔道とゞちらか選んで習ふ必要があつたが、僕は柔道を選んだ。人にポカ/\頭を殴られるのは気がすゝまなかつたのだ。ところが後になつて、学校の規則が変つて、剣道も柔道もどつちも正科になつて一時間づゝ習ふことになつた。その第一時間目、型をちよつと教へたあとで、いきなり一同に試合させられた。僕の相...
更新日: 2019/07/20
ハルチロさんの感想

“剣術の極意”とは、如何なるものや?我が師の教えから、著者の考える“極意”と比較すると、一点近い“極意”が記述されている。その“極意”は、一刀流の祖である伊藤一刀斎がこの“極意”に達するまで、長い年月を要したとのこと。著者の“それ”は、残念ながら一刀斎のものとは、天地程の開きはあるが、著者がその“境地”を発想されたことは、素晴らしいと思います。戦争を体験してきた方だから、この発想が出来るのであろうか。