「関東防空大演習を嗤う」の感想
関東防空大演習を嗤う
かんとうぼうくうだいえんしゅうをわらう
初出:「信濃毎日新聞」1933(昭和8)年8月11日

桐生悠々

分量:約5
書き出し:防空演習は、曾て大阪に於ても、行われたことがあるけれども、一昨九日から行われつつある関東防空大演習は、その名の如く、東京付近一帯に亘る関東の空に於て行われ、これに参加した航空機の数も、非常に多く、実に大規模のものであった。そしてこの演習は、AKを通して、全国に放送されたから、東京市民は固よりのこと、国民は挙げて、若しもこれが実戦であったならば、その損害の甚大にして、しかもその惨状の言語に絶したこと...
更新日: 2024/10/05
8ce1e1ed689eさんの感想

桐生氏自身は真珠湾攻撃の直前に亡くなって、戦後名誉回復することはなかったのが皮肉

更新日: 2019/02/23
ハルチロさんの感想

本作品中、作者の述べていることは、正鵠を射ている。事実、作中の防空演習から5年を経ずして、作者の懸念が具現化した。当時、制海圏が縮小すれば、比例して制空圏が縮小する。当時の防空システムでは、海上での敵機制圧が不可能となれば、本土上空での制圧に望みを託すしかない。しかし、航空機による迎撃が脆弱であり、対空砲火が輪をかけて脆弱である当時の状況からすれば、作者の懸念を軍部自体が、もっと危機感を持って対策を立てねばならなかった。本作品のような「警鐘」を軽視した軍部により、国民は災禍の火中に落とされたと言えるのではなかろうか。

更新日: 2017/06/19
d2588c1635e5さんの感想

このエッセイが発表された12年後に、それは現実になってしまった 。筆者は大演習の想定から、その当時の世相の結末を見いだしていたのかもしれない。

更新日: 2016/11/23
駄菓子かしさんの感想

太平洋戦争の行く末を見越したような 著書であり、作者の慧眼に感嘆するのみである。