桟敷の古い形
さじきのふるいかたち
初出:「土俗と伝説 第一巻第二号」1918(大正7)年9月分量:約2分
書き出し:此字は、室町の頃から見え出したと思ふが、語がずつと大昔からあつたことは、記紀の註釈書の全部が、挙つて可決した処である。言ふまでもなく、八俣遠呂知対治《ヤマタノヲロチタイヂ》の条に、記・紀二つながら、音仮名で、さずきと記してゐる。それより後の部分にも、神功の継子の二皇子、菟餓野《ツガヌ》に祈狩《ウケヒガリ》して、各|仮※《サズキ》にゐると、赤猪が仮※に登つて、麑坂《カゴサカ》王を咋ひ殺した(神功紀)...