「伊良湖の旅」の感想
伊良湖の旅
いらごのたび

吉江喬松

分量:約33
書き出し:北から吹く風が冷たく湖上を亙つて来た。浜名湖の波は白く一様に頭を上げて海の方へ逆押しに押し寄せる。四月の上旬で、空の雲はちぎれ/\に風に吹かれて四方の山へひらみ附いてゐる。明るい光が空を滑つて湖上に落ち、村櫛《むらくし》、白州、大崎の鼻が低く黒く真向ふに見えてゐる。新居《あらゐ》への渡船を待つて弁天島の橋際に立つてゐた。ギイギイ艫の音を立てゝ一艘の小船が橋の下へ湖水の方から逃げ込んで来た。「新居へ...
更新日: 2025/05/21
65c8aadc88adさんの感想

双之川喜1941  伊良湖の あたりの 旧村は 村ごと 引っ越し したので かつて 使われていた 井戸だけが あちこちに 遺って おり 石の 蓋を かぶせた 今は 残がいと なった 古井戸が 散見される。足元に 赤紫色の 五弁の 花が 咲いているのは 大根の花 という。旅情を 秘めた 筆力に 詩情を 揺すぶられた。