「肉屋に化けた人鬼」の感想
肉屋に化けた人鬼
にくやにばけたじんき
初出:「中央公論 第四十五年第八號五百十一號」中央公論社、1930(昭和5)年8月1日

牧逸馬

分量:約54
書き出し:1「こら、何故お前はそんな所に寝ているんだ」フリッツ・ハアルマンが斯う声を掛けると、古着を叩き付けたように腰掛けに長くなって眠っていた子供が、むっくり起き上った。独逸サクソニイ州ハノウヴァ市の停車場待合室は、電力の節約で、巨大な土窖のように暗い。ハアルマンは透かすようにして子供の顔を見た。一九一八年十一月二十三日の真夜中だった。霙を混えた氷雨が、煤煙を溶かして、停車場の窓硝子を黒く撫でている。大戦...
更新日: 2025/10/26
59556f4dc7e6さんの感想

フリッツ・ハアルマン(ハールマン)は実在した連続✕人犯であり、この話は ほぼノンフィクションである。しかし一番衝撃的な「木の葉を隠すなら森の中」については確たる証拠はないようだ。大戦後の混乱があったとは言えあまりにも警察が無能だが、有名な連続✕人犯の大体はこういった警察の不手際によって犯行を重ねられたといってよい。近代でも似たようなもの…とお思いの方々もおられようが、少なくとも長期に渡り多くの犠牲を出すようなことは ほぼなくなった。捜査が発達したことの有り難みを感じている。

更新日: 2024/12/21
8eb05d040692さんの感想

酷い話。でも実際これに似たような事件があったのかもと考えると怖い