「生きている戦死者」の感想
生きている戦死者
いきているせんししゃ

牧逸馬

分量:約29
書き出し:1背の高い、物腰の柔かい上品な男だった。頭髪は黒く、頬骨が高くて、一見|韃靼《ダッタン》人の血が混っていることを思わせる剽悍な顔をしていた。一九一二年の春の初めである。匈牙利《ハンガリー》の首都ブダペストから四哩程離れた田舎に、ツインコタという風光明媚な避暑地がある。ちょっと週末旅行などにも好いところで、附近にはヴィスグラッド、ナジ・モロス、ブダフォックなんかと、名前は恐しげだが、景色の佳い遊覧地...
更新日: 2024/03/21
8eb05d040692さんの感想

読んでくと徐々に怖くなってく作品です。もしかして本当にあった話なのかと思ってしまうくらい、なんかリアル

更新日: 2018/12/07
b25b0bd2dcfbさんの感想

実録物。避暑地に移り住んだちょっとした金満家と若く美しい妻。妻に浮気され逃げられた男は気を病むが、結局戦で死んでしまう――というのが表。裏にあるのは大きなブリキの樽、大勢の女の死体、男の替え玉。 前に読んだ「運命のSOS」で興味を持ち調べたところ、WW1後の欧州におけるノンフィクションの流行に触発され古本屋で犯罪者の資料を買い漁り1929~33年にかけて「世界怪奇実話」を連載したそう。ヒットしたとのことだが風変わりな事件の話を娯楽として消費する文化は現代も変わらない。