漫罵
まんば
初出:「文學界 十號」文學界雜誌社、1893(明治26)年10月30日分量:約5分
書き出し:一夕《いつせき》友と与《とも》に歩して銀街を過ぎ、木挽町《こびきちやう》に入らんとす、第二橋辺に至れば都城の繁熱漸く薄らぎ、家々の燭影《しよくえい》水に落ちて、はじめて詩興生ず。われ橋上に立つて友を顧りみ、同《とも》に岸上の建家を品す。或は白堊《はくあ》を塗するあり、或は赤瓦を積むもあり、洋風あり、国風あり、或は半洋、或は局部に於て洋、或は全く洋風にして而して局部のみ国風を存するあり。更に路上の人...