「昭和遊撃隊」の感想
昭和遊撃隊
しょうわゆうげきたい
初出:「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号

平田晋策

分量:約262
書き出し:巡洋艦『最上』の秘密諸君、僕はわが海軍の軍機を洩《もら》すようで非常に心苦しいのだが、諸君にだけある重大な秘密をお告げしたい。それは今、建造中の巡洋艦『最上《もがみ》』『三隈《みくま》』『吉野《よしの》』『千種《ちくさ》』の四隻に関する秘密だ。この四隻は同じ型の姉妹艦で、海軍省の発表によると、噸数《トンすう》は八千五百噸、武装は十五|糎《サンチ》砲十五門、十二糎高角砲四門で、速力は三十三ノットだ。...
更新日: 2021/09/30
ハルチロさんの感想

本作品は、題名から察せられる通り、戦争を題材とした小説です。戦争物なのですが、SF物の要素もあり、冒険活劇でもあります。少々長いですが、『スターウォーズ』や『宇宙戦艦ヤマト』が好きな方は、嵌まるかもしれません。本作品は、昭和9年に、当時の少年誌『少年倶楽部』に掲載されました。当時の世相からすると、欧州でファシスト政権が誕生したり、中国の北方の満州国で皇帝が擁立されたりと、軍国主義まで行かないが、戦争の兆しらしき物を感じられるようになりつつある時代だったかと思います。そのため、本作品は、SF戦争冒険活劇風になったのでしょう。作中に登場する新兵器類は、かつてブームとなった東宝の『ゴジラ』映画を彷彿させるものが多く、読了後、東宝映画『海底軍艦』を思い出される方もいらっしゃることと思います。