「心理試験」序
「しんりしけん」じょ
初出:「心理試験」春陽堂、1925(大正14)年7月分量:約12分
書き出し:江戸川乱歩兄から、こんど創作第一集を出すについて序文を寄せよとの事。わが探偵小説界の鬼才江戸川兄の創作集に、私が序文を書くなどということは、僭越《せんえつ》でもあり恥かしくもあるが、同時にまた、私に序文を書かせてくれる江戸川兄の心が嬉しくてならぬ。で、とにもかくにも御引受して、さて、筆を取って見ると、少なからぬ興奮を覚え、いささか、かたくなった為体《ていたらく》である。だから、うっかりすると、甚し...