古い日記の中から
ふるいにっきのなかから
初出:「日本文芸 3巻1号」1936(昭和11)年1月分量:約1分
書き出し:古い日記の中から夢野久作俺に取って金は空気と同じものだ、何が税金だと直木が笑った。半年の生命を本屋へ質に置いて、本屋に葬式を出させた直木。逆王に這入った直木は逆に利く桂馬に頭を遣られて死んだ。前後から外れる直木の褌を当にしていた奴が奪い合った。ダメになった頭で直木が碁を打って、負けて遣った奴に葬式をさせた。死ぬまでは死なないと書いた稿料を一文も取らずに直木は死んだ。底本:「夢野久作全集7」三一書房...