関東大震災当時にこんなにも冷静にその揺れの様子を見ていた人がいたのに驚いた。知識があっての冷静さに加えて、被害は地震後の火事が方が大きかったという事もあるのかな。妙な話だけれども、まるで現代の人の書いた文章を読んでいるかのような錯覚を覚えた。
本作品は、東京大学で地球物理学を研 究している著者が、大正時代に発生した南関東大地震(関東大震災)に遭遇した時の日記を抜粋したものです。地震発生の数日前から地震発生後三日目までが記されています。地震発生当日の記述部分は、地球物理学者らしい地震の状況が描写され、当時の状況がよく分かります。また、地震発生直後に、帝都を見舞う大火災を予見されている点も、注目されます。著者は、地球物理学研究の傍ら、推理小説の著述などもされており、本作品は、日記でありながら、その描写は、単なる記録文ではなく、随筆のような読みやすさがあります。