梅のにおい
うめのにおい
初出:「九州日報」1924(大正13)年2月4~5日分量:約2分
書き出し:一匹の斑《ぶち》猫が人間の真似をして梅の木にのぼって花を嗅いでみました。あの枝からこの枝、花から蕾といくつもいくつも嗅いでみましたが、「ナアーンダ、人間がいいにおいだ、いいにおいだと言うから本当にして嗅いでみたら、つまらないにおいじゃないか。馬鹿馬鹿しい、帰ろう帰ろう」と樹から降りかかりました。「ホーホケキョ、ホーホケキョ」「オヤ、鶯がやって来たな。おれは一度あいつをたべてみたいと思っていたが、ち...