狸と与太郎
たぬきとよたろう
初出:「九州日報」1923(大正12)年11月21日分量:約1分
書き出し:与太郎は毎日隣村へ遊びに行って、まだ日の暮れぬうちに森を通って帰って来ました。「あの森は狸がいていろいろのものに化けるから、日の暮れぬうちに帰らぬと怖ろしいぞ」とお母さんが言いきかせているからです。ある日、太郎はうっかり遊び過ごして真暗になって帰って来ました。森の中に入ると、忽ち一丈もある位の一つ目入道が出ました。「ヤア。大きな伯父さんが出て来た。眼玉が一つしかないんだね。面白いなあ。僕と一緒にう...