二人の男と荷車曳き
ふたりのおとことにぐるまひき
初出:「九州日報」1923(大正12)年11月27~28日分量:約3分
書き出し:昔ある処に力の強い、何でも上手の男が二人おりました。二人共知らぬ者がない位名高かったのですから、どちらがえらいかわかりませんでした。ある日二人は往来で出会うとお互いに自慢をはじめましたが、ただ口で言っただけではわからないので、とうとう決闘をする事になりました。二人はピストルを持って来て撃ち合いをはじめましたが、どこを打っても弾丸《たま》が途中で打《ぶ》つかってどっちにも当りません。次には剣《つるぎ...