「植物知識」の感想
植物知識
しょくぶつちしき

牧野富太郎

分量:約141
書き出し:まえがき花は、率直《そっちょく》にいえば生殖器《せいしょっき》である。有名な蘭学者《らんがくしゃ》の宇田川榕庵《うだがわようあん》先生は、彼の著《ちょ》『植学|啓源《けいげん》』に、「花は動物の陰処《いんしょ》の如《ごと》し、生産|蕃息《はんそく》の資《とり》て始まる所なり」と書いておられる。すなわち花は誠《まこと》に美麗《びれい》で、且《か》つ趣味に富《と》んだ生殖器であって、動物の醜《みにく》...
更新日: 2015/12/18
0e891017c650さんの感想

観賞用や果物として馴染み深い植物の形や来歴について、著者の考察を交えながら軽快な筆致で書かれている。一種の紹介文毎に、筆者の描いたイラストつきである。若干のデフォルメがあるが、それがイラストの味わいを増している。 最後の10ページが印象深い。植物学の大家として、一つの学問分野に人生を注いだ著者の博愛が伝わってくる。学問を突き詰めるということは、このような真理に近づくための修行の道の一つなのだろう。