北条民雄
彼の作品の「いのちの初夜」を読んだことがある。題名から想像するに何かもっと男女間の性的エロスを期待して手に取ったのだが、そうした不埒な思いを一掃するほどの衝撃を受けた。筆者自らがハンセン病を「発病」した。自分は特別な位置にある存在で、NEWSで毎日報道される病死や殺人などの事件事故は、どこか別世界の話に聞こえる心境、同感である。誰にでも襲いかかる不幸。人は必ずいつかは死ぬ!ということが唯一平等なのである。