万葉集研究
まんようしゅうけんきゅう
初出:「日本文学講座 第一九巻」1928(昭和3)年9月分量:約74分
書き出し:一万葉詞章と踏歌章曲と万葉集の名は、平安朝の初め頃に固定したものと見てよいと思ふ。この書物自身が、其頃に出来てゐる。此集に絡んだ、第一の資料は古今集の仮名・真名両序文である。これを信じれば、新京の御二代平城天皇の時に出来た事になるのである。従つて此集の名も、大体此前後久しからぬ間に、纏つたものと見てよさゝうである。詩句と歌詞とを並べた新撰万葉集や、古今集の前名を「続《シヨク》万葉集」と言つた事実や...