桂小南
落語家の作品だからでしょうか、明治生まれの方が書かれた文章としては、読みやすく、またテンポも良いと感じる作品です。作者の名前は今や名跡となっています事を考えますと、この作品の“咄”の調子が小気味良いのも頷けます。 戦前の競馬事情や場内、券売所の様子が面白く描かれており、落語の“くすぐり”を思わせられるものです。また、競馬にのめり込む“気違い”の心理も簡潔に分析されているところも、咄家さんならではかと思いました。