任侠二刀流
にんきょうにとうりゅう
初出:「名古屋新聞」1926(大正15)年5月24日~12月26日分量:約588分
書き出し:茜茶屋での不思議な口説ここは両国広小路、隅田川に向いた茜茶屋《あかねちゃや》、一人の武士と一人の女、何かヒソヒソ話している。「悪いことは云わぬ、諾《うん》と云いな」「さあね、どうも気が進まないよ」「馬鹿な女だ、こんないい話を」「あんまり話がうますぎるからさ」「気味でも悪いと云うのかい」「そうだねえ、その辺だよ」「案外弱気なお前だな」「恋にかかっちゃあこんなものさ」「ふん、馬鹿な、おノロケか」「悪か...