馬琴の小説とその当時の実社会
ばきんのしょうせつとそのとうじのじっしゃかい
分量:約21分
書き出し:皆さん。浅学不才な私如き者が、皆さんから一場の講演をせよとの御求めを受けましたのは、実に私の光栄とするところでござります。しかし私は至って無器用な者でありまして、有益でもあり、かつ興味もあるというような、気のきいた事を提出致しまして、そして皆さんの思召《おぼしめし》に酬《むく》いる、というような巧なる事はうまく出来ませぬので、已むを得ず自分の方の圃《はたけ》のものをば、取り繕《つくろ》いもしません...