琴の 寒稽古と いうのは 壮烈な もので 寒中に 戸や 障子を 開け放して 寒い方に 向かって 一番 むづかしい ものを 百回 千回と 繰り返して 弾く。そして 手が 冷たくなると 暖めるのではなく 反対に 冷水に つけて また 弾きだすという。仕舞いには 指から 血が 滲む ようなことも あったという。抜きん出た 境地に 達するには 生半可な 習練では 足りないことが よくわかった。
中学校の時であろうか曲名「春の海」と共に著者の名前を記憶している。7歳で失明、しかし努力のかいあって箏奏者、作曲家になられた。著者の歩みは後に同じ障害者にとって希望の光となったであろう。
若い頃の辛い思いでも年を重ねるとさらりと受け入れられるようになる。こんな風にどんなこともさらりと受けながら消えていける人になりたい。