鼻で鱒を釣つた話(実事)
はなでますをつったはなし(じつじ)
初出:「女学雑誌 通巻三四六号」女学雑誌社、1893(明治26)年6月10日分量:約7分
書き出し:みなさん、魚はどういふものを食べたがるか、御承知ですか?。蚯蚓《みみず》に団子………。さ様《やう》、それから生《なま》の肉類。エー、それに同じ魚で自分より少《ち》さいのを食べるものが多いといふことを知つておいでのお児《こ》も有《あり》ませう。ホラ鯨が鰯《いわし》をおつかけるといふこともお聞《きき》なすつたでせう。それから鮫《さめ》などの様な大きい魚になり升と、随分人間を呑《の》み兼ねないのですよ。...