「競馬」の感想
競馬
けいば

犬田卯

分量:約11
書き出し:行って来るぜ……なんて大っぴらに出かけるには、彼はあまりに女房に気兼ねし過ぎていた。それでなくてさえ昨今とがり切っている彼女の神経は、競馬があると聞いただけでもう警戒の眼を光らしていたのである。「今日は山だ!」仙太は根株掘りの大きな唐鍬を肩にして逃げるように家を出た。台所で何かごとごとやっていた妻の眼がじろりと後方からそそがれたような気がして、彼は襟首のあたりがぞっとした。彼はそれを打ち消すように...
更新日: 2019/05/23
ハルチロさんの感想

競馬ーー遊興、博打ーーに纏わる話としては、ありがちな話である。この作品の結末も話の流れから、想定できる結末である。この作品は、そのありがちな結果を、プロレタリア的思想・背景を濃くして描かれている。著された時代の思想、世相が教訓的に描かれている点で、“競馬”を題材にした小説としては面白いと思いました。