『吾輩は猫である』上篇自序
『わがはいはねこである』じょうへんじじょ
分量:約2分
書き出し:「吾輩は猫である」は雑誌ホトトギスに連載した続き物である。固《もと》より纏《まとま》った話の筋を読ませる普通の小説ではないから、どこで切って一冊としても興味の上に於《おい》て左《さ》したる影響のあろう筈《はず》がない。然《しか》し自分の考ではもう少し書いた上でと思って居たが、書肆《しょし》が頻《しき》りに催促をするのと、多忙で意の如《ごと》く稿を続《つ》ぐ余暇がないので、差し当り是丈《これだけ》を...