青いポアン
あおいポアン
初出:「作品」1930(昭和5)年12月分量:約47分
書き出し:第一部明子は学校でポアンといふ綽名《あだな》で通つてゐた。ポアンは点だ、また刺痛だ。同時にそれが、ポアント(尖《さき》、鋭い尖)も含めて表はしてゐることが学校仲間に黙契されてゐた。特に彼女の場合、それは青いポアンであつた。明子はポアンといふ名に自分の姿が彫り込まれてゐるのに同感した。のみならず、この綽名を発見した或る上級生に畏怖《いふ》に似た感情を抱かずには居られなかつた。同時に敵手ともして。——...