『尚書』の高等批評
『しょうしょ』のこうとうひひょう
特に堯舜禹に就いて
とくにぎょうしゅんうについて初出:「東亞研究 第二卷第四號」1912(明治45)年4月分量:約10分
書き出し:東洋協會講演會に於いて、堯舜禹の實在的人物に非ざるべき卑見を述べてより已に三年、しかもこの大膽なる臆説は多くの儒家よりは一笑に附せられしが、林〔泰輔〕氏の篤學眞摯なる、前に『東洋哲學』に余は近時林氏の注意によりて之を知れるなり、近く『東亞研究』に、高説を披瀝して教示せらるゝ所ありき。茲に今林氏の好意に酬い、且その後の研究を述べて、儒家諸賢の批判を請はんと欲す。而して林氏の説に序を逐うて答ふるも、一...