遊歴算家なる者が 地方を巡回し 和算の 普及に 力 があったという記述は 特に 興味を惹かれる。 何やら 俳諧における 吟行をも 思い起こさせ 著者の 力説する 芸術的な 特性が 共通して 重要な意味を持つことは 主張の 深さを 思い知らされることになる。 日本人の 教養の深さの 遠い原因は こんなところにも あるのかもしれないと感じた。
三上義夫の和算の社会的・芸術的特性については、和算は芸術性があるが、実用生活面では、乏しかった。西洋の数学は実用面に役立ち、天文学とも深く繋がっていたが、和算は天文学との関係が乏しかった。明治以降も和算家はその独自な術を磨いて行ったが、結局、近代科学と実用性には及ばすず、衰退していったが、独創性・芸術性は素晴らしかった。