「ランボオ詩集」の感想
ランボオ詩集
ランボオししゅう
初出:「ランボオ詩集」野田書房、1937(昭和12)年9月15日

中原中也

分量:約94
書き出し:初期詩篇感動私はゆかう、夏の青き宵は麦穂|臑《(すね)》刺す小径の上に、小草《をぐさ》を蹈みに夢想家・私は私の足に、爽々《(すがすが)》しさのつたふを覚え、吹く風に思ふさま、私の頭をなぶらすだらう!私は語りも、考へもしまい、だが果てなき愛は心の裡《うち》に、浮びも来よう私は往かう、遠く遠くボヘミヤンのやう天地の間を、女と伴れだつやうに幸福に。フォーヌの頭緑金に光る葉繁みの中に、接唇《くちづけ》が眠...
更新日: 2017/07/08
芦屋のまーちゃんさんの感想

たとえば、「永遠」だ! 「また見付かつた。 何がだ?永遠。 去つてしまつた海のことさあ 太陽もろとも去つてしまつた。」 と中也は訳すが、しっくりこない。 やはり、堀口の訳がいい。 「もう一度探し出したぞ。 何を?永遠を。 それは、太陽と番った 海だ。」 さらに、 中也は 「もとより希望があるものか 願いの条があるものか 黙つて黙つて堪忍して・・・ 苦痛なんざあ覚悟の前」 と訳を進めた。 だが残念。 「絶対に希望はないぞ、 希いの筋もゆるされぬ。 学問と我慢がやっと許してもらえるだけで・・・。 刑罰だけが確実で。」 という名訳の前では中也も敗北!!! ランボオを生かすも殺すも訳次第。