病室に泊まりこんで 臨終が近づいた 妻を看取る。 互いに 感謝の言葉を述べ 労苦をねぎらいつつ 妻は 大いなる方の元へと旅立つ。 花園とでも 思いこまなければ 凌ぎきれないのであろうと感じた。
香りが今にも伝わりそうな瑞々しく美しい花々の生命力のある描写と、日に日に弱っていく妻や患者たち、彼らを蝕む煙の描写が対照的で印象に残りました。 美しく、切なく、あたたかい話だと思いました。 横光利一の作品の中で一番気に入っていて、繰り返し何度も読んでいます。
短編「春は馬車にのって」の後日談 本当に素敵な夫婦。 最初はその単調な言葉遣いから妻に対する愛情は本当に無くなってしまったと悲しく思いましたが、中盤からの夫妻の会話を目にして深い愛が依然としてそこにあることに気付き、感動の波が押し寄せてきました。 新感覚派の作風を知るきっかけとなった作品です。 追記 何方かが仰っていましたが、この題名の「思想」=「死の美しさ」なのですね。 これを知ったとき、最後の夫の心情が理解できたように思えます。