島木健作
刑務所を 出れたのは 癘病だったからで 娑婆に その身を うつしたとて 身を立てる 術が あるわけではなく 放免という 自由と引換えに その先に 待ち受けているのは 食うに困る 果てしない難儀の 連続である。読み手は さきのみえない 暗い 気持ちになる。