「惑ひ」の感想
惑ひ
まどい
初出:「新日本 第八巻第一〇号」1918(大正7)年10月1日

伊藤野枝

分量:約65
書き出し:一『本当にどうかして貰はないぢや困るよ、明日は是非神田の方に出掛けなきやならないんだからね』母親はさう云つて谷の生返事に、頻《しき》りに念を押してゐた。と云つて、彼女は決して、谷をあてにして念を押してゐるのではないと云ふ事は、次の間で聞いてゐる逸子にはよく解つてゐた。そして、また苦しい金策をしなければならないのだなと思ふと何んとも云へない嫌やな気持に圧《お》し伏せられるのだつた。けれど、嫌やだと云...
更新日: 2019/10/25
19双之川喜41さんの感想

 閉塞状態の家庭生活は 収入を得る途がなく 夢想を食って 日々を やり過ごしている者ばかりから 出来ている。 茹で蛙の状態を 何とかする気はないのが 底知れぬ不快感となる。 文学者の自虐的な貧乏自慢は 楽屋落ちとは言わず  昇華した 作品であれば  許してもらえる のかもしれないと感じた。