「鎮魂歌」の感想
鎮魂歌
ちんこんか

原民喜

分量:約72
書き出し:美しい言葉や念想が殆ど絶え間なく流れてゆく。深い空の雲のきれ目から湧いて出てこちらに飛込んでゆく。僕はもう何年間眠らなかつたのかしら。僕の眼は突張つて僕の唇は乾いてゐる。息をするのもひだるいやうな、このふらふらの空間は、ここもたしかに宇宙のなかなのだらうか。かすかに僕のなかには宇宙に存在するものなら大概ありさうな気がしてくる。だから僕が何年間も眠らないでゐることも宇宙に存在するかすかな出来事のやう...
更新日: 2015/05/26
854f344932f3さんの感想

主人公の心中に無限に広がる絶叫と葛藤が読み手にもダイレクトに伝わる作品。核兵器は世界をガラリと変えてしまう。 原氏の作品は今まで何作か読みましたが、特に比喩の使い方が巧みで悲惨だけじゃない言葉の使い方に引き込まれる様に読んでしまいました。 戦争体験の作品が殆どですが、原民喜氏の作品を読むならば是非とも薦めたい作品です。