殺人迷路
さつじんめいろ
06 (連作探偵小説第六回)
06 (れんさくたんていしょうせつだいろっかい)初出:「探偵クラブ」1932(昭和7)年11月号分量:約9分
書き出し:見えざる敵新橋駅で雑誌記者の津村と別れた探偵作家の星田は、そこから自動車を拾って一先ず自分の宅へ引上げてきた。捕捉することの出来ない不安は、次第にじりじりと胸元へこみ上げてくる。つい、先程まで冗談だとばかり思っていた事が、急に恐ろしい現実となって襲いかかってきたのだ。しかも、この忌まわしい、好もしからざる事件に於て、自分はまんまと犯人の役割を背負込まされているのだ。鎌倉からの帰りがけの電車の中で、...