「丸の内」の感想
丸の内
まるのうち
初出:「東京日日新聞」1927(昭和2)年3月15日~31日

高浜虚子

分量:約59
書き出し:ドンが鳴ると震災ずっと以前のことであった。今はもう昔がたりになったが、あの小さい劇場の有楽座が建ったはじめに、表に勘亭流《かんていりゅう》の字で書かれた有楽座という小さい漆塗りの看板が掛っていたのに、私は奇異の眼をみはった事があった。この有楽座というのは、その頃はまだ珍しい純洋式の建築であった。どこを探しても和臭というものはなかったが、独《ひと》りこの勘亭流の字だけに従来の芝居の名残《なごり》をと...
更新日: 2020/10/14
19双之川喜41さんの感想

 ホトトギスの発行所は 新造成ったばかりの 丸ビルにあったので 震災を やり過ごすことができたという。 界隈の 描き方が 詳細をきわめていて 洋式トイレにまたがる人や 流さない人も 続出したようだ。 今では  我が国は  トイレ 先進国と 見られられているようだけど  物事の はじまりは  こんなものだと 感じた。

更新日: 2019/08/12
ハルチロさんの感想

題名『丸の内』を“丸ビル”ーー丸の内ビルヂングーーを拠点に俯瞰視したエッセイです。丸の内の歴史資料として見ても、素晴らしい作品だと思います。浅学非才の愚生は、俳句誌『ホトトギス』が、当時最先端の“丸ビル”に発行所を置いていたことを、本作品ではじめて知りました。現在の東京駅の丸の内側は、本作品の情景を遺す風景が皆無かもしれません。ただ、本作品に登場する「休日」と「正月」の丸の内の風景は、現代も、当時と同じ様な風景かと思います。