戦争映画によくある出征を送る万歳の光景は、とても苦々しく感じていた。けれどSを送る私の万歳はとても美しいものに見えた。心が通じ合うことの美しさをまじまじと感じた。
身寄りのない旧友S氏からの軍事郵便が届く。十代後半から夜更かししていた先生は寝過ごさないように徹夜をし、S氏を見送りに向かう雨風の中でも、S氏を思いやった。 再会してすぐに二人の気の置けない関係性が短い文章でも窺い知れた。先生が見送りに来て下さったことで、S氏がどれだけ嬉しかったのか……推し量ることはできないが、ぐっと胸に来るものがあった。 戦争の末路を知っていると、悲しみや辛さを強く感じてしまうが、ただ悲しいだけではない、あの時代を生きた方達の、あたたかさを知ることができた。 ひとり叫んだS君万歳……S氏が喜んでくれたことは本当に泣けた。
初めて読んだけれど、彼らのやり取りがとても美しいとおもった
自分も雨降りの中に佇んで、「私」の万歳の声を聞いて、Sの微笑を見たように思う。