「山日記その一」の感想
山日記その一
やまにっきそのいち
初出:「文學界 第五巻第十号」1938(昭和13)年10月号

堀辰雄

分量:約6
書き出し:九月三日ゆうべ二時頃、杉皮ばかりの天井裏で、何かごそごそと物音がするので、思はず目を覺ました。ちやうど僕の頭の眞上のへん。鼠だらう位に思つて、やがてもう音がしなくなつたので、又すぐ寢てしまつた。朝、起きぬけにけふこそ一つ仕事をしてやらうと思つて、霧の中をすこし散歩をして歸つてくると、僕を迎へる女房たちの樣子がちよつとばかり變なので、どうかしたのかと訊いてもなかなか白状しない。何か僕のいやがる事があ...
更新日: 2024/05/01
19双之川喜41さんの感想

 山小屋で 蛇が 脱皮したので 白い抜け殻が 戸袋に 残っていた。脱皮の頃は 蛇は 動作が 緩慢になるという。著者は 小さな仕事や 大きな仕事を 控えているけど なかなか 着手に 至らない。リルケの詩を 想起したりして 無意味なようでもある 時間を 過ごす。掘は 蛇に 自分を なぞらえて 脱皮の 前の 怠惰ということにする。あるある感が 伝わって来ると 感じた。

更新日: 2016/08/15
YELLOWテントマンさんの感想

大事な仕事が有るのに、関係ない事をしてしまったりするもの。試験前なのに、急に掃除がしたくなったり、関係ない事に思索を巡らしたりするもの。人間は機械ではないので仕方がない。そんなことも無駄ではないと思うが、作家も大変そうだな。