岡本綺堂
心中物、大工の丁稚と廓の稼ぎ頭の女との組み合わせだがやはり人情に絆される。
気の弱い身寄りのない男と分別のある慎ましい女の悲恋もの。父親だけは自業自得だが、なまじ子に見せた情が男にとって仇になった。ふっと気が抜けた瞬間に死んじゃおっか、と流されて心中してしまう二人。誰も救われない話がこの作者、意外と多い。淡白な描写なので読後感は悪くないです。