ランプの下で
ランプのしたで
初出:「四季 第十六号春季号」1936(昭和11)年3月10日号分量:約5分
書き出し:山にやつて來てから、もう隨分長いこと書かない。去年はほんたうに何も書きたくなかつたので、あつさりと何も書かなかつたが、今年はそんな氣持はかなぐり棄てて、ひとつうんと書いて見るつもりだ。しかしまだ、何が書けるのやら、自分にも見當がつかない始末だ。が、今年は——秋にでもなつたら、ひよつとしたら詩が書けさうな氣がしてゐる。もし書けたら、一ぺんにどつさり發表する。それまでは、相變らず、隨筆を書いたり、飜譯...